No. 8579 / 2016年11月17日

無題

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幾年の時を越えて、やっと再会したあの人は私の記憶を持っていなかった。
それでもその頬に触れて彼が笑えば、熱い滴が目からこぼれた。
扇で顔を隠さねば、哀れなほどに涙は止まらなかった。
「なんて呼んだらいい?」
そんな言葉に自分の名を告げる。
「――...
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幾年の時を越えて、やっと再会したあの人は私の記憶を持っていなかった。
それでもその頬に触れて彼が笑えば、熱い滴が目からこぼれた。
扇で顔を隠さねば、哀れなほどに涙は止まらなかった。
「なんて呼んだらいい?」
そんな言葉に自分の名を告げる。
「――か、月に映える名前だね」
初めて会った時と同じ言葉を返され、もうどうしようもなく涙は流れたが、私は微笑んで
「今宵の月は綺麗であろう?」
あの時と同じ言葉を紡いだ。

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